産前産後のお母さんやそのご家族へ、出産に関する体験談をお伺いするインタビュー企画。
これからお母さんになる方やそのご家族には、不安・悩みも多いと思います。子育ては十人十色ですが、誰かの経験を知ることで選択肢が少しでも増え、悩みの緩和に繋がると思い、先輩たちの実体験をお届けします。

第14回目としてお話を伺ったのは遠藤 温子(えんどう あつこ)さんです。

遠藤さんは法律の専門家である弁護士です。中小企業の民事、労働事件、不動産の法律問題、ネットの誹謗中傷対策、保険会社関係の業務を多く行なわれています。

弁護士だったお父様の影響もあり、法科大学院卒業後、資格試験に挑まれ合格。これからという時にお父様が急死され、突然稼業を継がれます。また同業者である旦那様と出会われ結婚。現在は3人のお子さまのお母さまです。

第1部では妊娠中に起きた突然の入院体験を、第2部では個人事業主として仕事と育児のバランスに悩む思いをお届けしました。

第3部はこれからです。2歳で3人の子育てをされている遠藤さんがこれから親御さんになる方へ向けて届けたいメッセージは「妊娠も子育ても予測不能なことが起こるから、そんなに心配しないで」というものでした。その真意とは…。

<プロフィール>
遠藤 温子<Atsuko  Endo>
東京都出身、在住。2004年学習院大学法学部卒業 2010年一橋大学法科大学院卒業。父親の影響もあり、弁護士の道を目指す。司法試験を合格し”伊藤遠藤高野野崎法律事務所(現あみた綜合法律事無所)へ入所。父の急死に伴い、事務所を引き継ぐ。
また高校時代にはアルゼンチンへ留学経験がある。
プライベートでは30代で長女、長男、40代で次女を出産。




第3部:これから

子育ては予測不能が多いもの

子どもと親は別人格




森山:3人のお子さんを子育てされている遠藤さんですが、自身の子育て経験を通して悩んでいる方やこれから親御さんになる方に向けて、メッセージをいただけないでしょうか。

遠藤さん:あまり先の事に対して深く考えすぎないようにした方がいいと思います。妊娠も子育ても自分が想像していなかった事が多く起きますからね。

私の場合は、2人目、3人目を妊娠中に予想もしていなかった切迫早産になり入院、手術をするようになりました。切迫早産の場合は退院できる日にちも分からないし、予知も予防もできませんでした。

また子育ては、子どもが出来る前に自分が思っていた以上に思い通りにならない事が多いように感じます。子どもが生まれる前の生活と、赤ちゃんが産まれた後の生活では自分時間も無くなり、生活スタイルもガラリと変わりました。自分のために使っていた時間も、子どもができれば子ども優先になります。

保育園に預けたとしても風邪や体調不良で呼び出しがかかり、仕事が思うように進まない時もあります。それらはどれも予知する事が出来ない突然やってくるものです。「妊娠中に突然破水したらどうしよう」や「子どもがアレルギーだったらどうしよう」とか、まだ先の未来に対して過剰に不安になっても何もいい事にはつながりません。

なるようにしかならないのですから、あまり考えすぎないのも子育てにおいては大事なのかなと思います。もちろんある程度備えておけば安心ですが、必要以上に未来に対して不安にならない方がいいと思いますね。



あとあまりネットの情報に頼り過ぎないのも、自分の精神状態を保つ上では必要なのかなと思います。

私も何か調べものがある時にネットで検索する事も多いです。しかし子どもの病気は、専門家が書いた本やかかりつけのお医者さんの意見を参考にしています。他方で、子育ての合間に育児本や漫画、育児エッセイなどを楽しんでいます。ネットと異なり紙媒体や電子書籍のいい所は限りがあるという点です。電子・物理を問わず雑誌や育児本なら文字制限があるためポイントを絞って書かれていますし、著者の他に編集さんがチェックしていることが一般的です。

一方でネットは検索すれば限度なしに情報を集められます。それは同時に「これはどうなんだろう」という不安を深堀できてしまうのです。人は何か気になった事柄があると悪い情報を集めたがりますよね。「これって問題なんじゃないかな」から始まり、自分でも気が付かないうちにどんどん悪い情報の方へ引きずり込まれて自分を追い込んでしまいがちです。

大切な我が子だから、一つでも多く情報を知りたいという気持ちもわかりますが、悪い方に気持ちが向いてしまうと親の精神状態も良くない方向に行ってしまいます。ある程度心に余裕を持ち、平常心でいたいですね。





森山:親の不安な気持ちに子どもは敏感に察知しますからね。
仕事に育児にと毎日お忙しいかと思いますが、遠藤さんはどんな方法でストレスを解消されていますか。

遠藤さん:ストレス解消法と言っていいのか分かりませんが、睡眠が何より大切だと感じています。睡眠不足だと全てにおいてパフォーマンスが落ちますよね。精神的にもネガティブになったり、イライラしてしまったり。体も眠気とだるさがあり、いつもの状態が保てないです。

1-2日程の睡眠不足なら頑張れるかもしれませんが、育児は長く続くものです。赤ちゃんの月齢が小さいうちは授乳や夜泣きでどうしても細切れの睡眠になってしまいますので、昼間でも隙をみて横になるようにしています。

掃除や食器洗いが出来ていなくても大丈夫、後から何とかなります。だから月齢の小さいお子さんを育てられている方は、無理をしないで赤ちゃんが寝ている時に一緒に横になって休んでもらいたいです。



森山:睡眠時間の確保、大事ですね。
これからの事についてお聞かせください。

遠藤さん:3人の子ども達には、それぞれが幸せになって欲しいですが、あまり親の期待を押し付けないようにしようと思っています。子どもは私とは別人格の人間なので、親の意見を押し付けるのではなく、子ども達の意見を尊重したいです。

親御さんの中には小さい頃から早期教育をされている方もいらっしゃいますよね。私も高校時代にアルゼンチンへ留学した経験もあり、世界の共通語である英語は話せた方が、将来的に子どもにとってもいいんだろうなとは感じています。しかしそれはあくまでも私の意見です。話せるようになるには、小さい頃から親しんでいた方がいいと思いますが、それも親である私の意見。子ども達本人がどう思うかは別の話だと思っています。

それと、子ども達には私の想像を超える人になって欲しいですね。具体的には言い表しにくいのですが、時代は日々変化し続け、予想しなかった事が起こり続けています。だからこそ、子ども達には自分の力でどんな状況でも生き抜いていけるようになって欲しい、私が考えるような域を超えた人へ成長していって欲しいですね。




第3部終了



■第1部「予想もしていなかった入院生活」はコチラから



■第2部「個人事業主ならではの悩み」はコチラから



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【ご紹介】

遠藤さんが経営されている あみた綜合法律事務所 のHPはコチラ

http://www.w-jurist.com/introduction/



インタビュー/ライティング:森山 千絵