産前産後のお母さんやそのご家族へ、出産に関する体験談をお伺いするインタビュー企画。これからお母さんになる方やそのご家族には、不安・悩みも多いと思います。子育ては十人十色ですが、誰かの経験を知ることで選択肢が少しでも増え、悩みの緩和に繋がると思い、先輩たちの実体験をお届けします。

第6回目としてお話を伺ったのは鈴木 奈津美(すずき なつみ)さん。

大手IT企業で10年以上従事されながら、2019年に「母親アップデートコミュニティ(HUC)」を立ち上げ。現在も全国のお母さん達と「母親を、もっとおもしろく」というビジョンの基に活動をされており、鈴木さん自身も1児のお母さまです。

第3部のこれからでは、自身の育児経験を通してのメッセージをお届けしています。母親コミュニティの代表として多くのお母さん方から聞こえてくる悩みとは。


<プロフィール>
鈴木 奈津美<Suzuki Natsumi>
東京都出身、在住。2002年大手IT企業へ入社。エンジニア職を経てマーケティングマネジャーに着任。2019年に母親が自分らしくいられる場として「母親アップデートコミュニティ(HUC)」を立ち上げる。2020年法人化。
プライベートでは30代に第1子を出産。




第3部:これから

自分らしく生きるための自分時間

家事育児の分担は5対5がスタートラインに


森山:2022年7月現在、約240人のお母さん達が参加している「母親アップデートコミュニティ」の代表である鈴木さんですが、多くのお母さん達とお話されてきた中で、よくあるお悩みは何かありますか。

鈴木さん(以下敬称略):「時間がない」という悩みはよく出てきます。

子どもや家族優先で自分のための時間を作れない、自分らしく生きられていない、自分が置き去りになっていると感じている方々が多いです。もちろん子どもがまだ小さいとか、ワンオペ(※2)状態などで、自分の時間をとるには睡眠時間を削るしかない方がいるのも事実ですが、私のように「思い込み」で時間が取れないと思っている方もいます。私自身の経験から、意識を変えるだけでも時間が増えることもあるとお話しています。

自分の時間が無いなら、今やっている何かを手放してみて、意識的に自分時間を作ってみる、例えば何かのコミュニティに入って活動してみるとかもいいですよね。自分のやりたいことを諦めずに、自分らしく生きられる人が増えれば、自分時間が無くて悩んでいる方のロールモデルになったり、「私にもできるかも」という自信や励みにもつながると思います。

お母さんになると「○○ちゃんのママ」と呼ばれ、母親としてのつながりが中心になり、「自分」がいつまで経っても失われているように思います。そうではなく、自分が自分でいるためには、「自分を主語にして語れる場」が必要と思い、私たちコミュニティでは、自分の話をする時間を大切にしています。



森山:職場や子ども以外のつながりで、自分の話をする場所は少ないかもしれませんね。そういった意味でも「母親アップデートコミュニティ」の存在は貴重ですね。

最後に鈴木さんが自身の子育て経験を通して、これから親御さんになる方や育児で悩まれている方々に向けて、メッセージをお願いします。

鈴木:一人で抱え込まず、周りに「頼る」という選択肢を知って欲しいです。

いまは「人類史上、もっとも孤独な子育て」。昔に比べれば、ご近所さんとのつながりも失われていますし、何かあると自己責任が叫ばれる世の中になっていると思います。働く母親が増えていることもあり、母親たちの負担が増えてきているのではないでしょうか。

さらに「母親はこうあるべき」という昔からの固定概念が社会には根強く残っています。母親ひとりに負担がかかり過ぎてしまっている状況や、孤独に子育てすることの違和感に早くから気づければ、子育ての環境は変わってくると思います。

子どもを産む前から、家事育児のバランスをパートナーと話し合っておくと良いですよね。今の時代は共働き世帯が当たり前となっているので、話し合いのスタートラインとしては、家事育児の分担比率は5対5で良いのではないでしょうか。

パートナーに限らず、地域やご近所のサポート・サービスも含め、孤独な子育てにしないのが大切と思います。自分が自分で居られる居場所を見つけて、限られた子育て時間を楽しんでいただければ嬉しいです。




第3部終了

■第1部「静に感じていた”妊娠”という圧力」はコチラ



■第2部「大きな気づきをくれた夫の一言」はコチラ


 
 

※2 ワンオペについて

1人の従業員・担当者にすべての業務を行わせている状態のこと。女性の社会進出が増えた近年では、育児や家事を女性が一人で担っている様子を「ワンオペ育児」として表現されていることも多い。



*******************************************************

【ご紹介】

HUC:母親アップデートコミュニティ

「母親を、もっとおもしろく」

「〇〇しなければならない。」から「〇〇したい。」へ。

自分の人生をワクワク楽しむコミュニティ



インタビュー/ライティング:森山 千絵