山田さん第3部

産前産後のお母さんやそのご家族へ、出産に関する体験談をお伺いするインタビュー企画。これからお母さんになる方やそのご家族には、不安・悩みも多いと思います。子育ては十人十色ですが、誰かの経験を知ることで選択肢が少しでも増え、悩みの緩和に繋がると思い、先輩たちの実体験をお届けします。

第17回目としてお話を伺ったのは山田 崇(やまだ たかし)さんです。

山田さんは大学を卒業後、地元である長野県塩尻市役所に勤務。塩尻市から地域をよくしたいと商店街の空き家を借りた地方創生やシティープロモーションなど、新しいチャレンジを次々と繰り出し、各地での講演活動も行ってきました。2022年にNTTドコモグループに転職、現在は東京と長野の二拠点生活を行いながら新しい挑戦を始めています。

第1部では妊娠~出産、第2部では子育てについてうかがいました。第3部はこれからとして伝えたいメッセージをお届けします。40代後半で親になり、長年勤めた塩尻市から民間企業へ転職をした理由には届けたい言葉がありました。


<プロフィール>
山田 崇<Takashi Yamada>
長野県塩尻市出身、現在は東京と長野での二拠点生活。千葉大学工学部応用科学科卒業後、塩尻市役所入庁。シティプロモーション、地方創生、関係人口創出を担当し、塩尻市が抱える地域・社会課題解決を官民連携により推進。(2019年 著書「日本一おかしな公務員」を出版) 2022年4月よりNTTドコモグループの教育事業会社へ転職。人生100年時代の学びが体験できるオンライン動画学習サービス「gacco」、DX時代の新しい企業研修を提供する「gacco for Biz」、ビジネス創造力を養う「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」の設計・開発を推進。
プライベートでは2児の父。




第3部:これから

気軽に「頼る・任せる」が出来るように

セカンドキャリアとしての新しい挑戦




森山:これまで多くの方と接してこられた山田さんですが、これから親御さんになる方や育児で悩まれている方に向けて、自身の経験を通して何かお言葉をいただけないでしょうか。

山田さん:自分達で全てを解決しようとするのではなく頼ったり、任せたりして欲しいなと思います。

子どもが小さい時はとにかく手がかかるから、子育てしながら掃除などの家事や育児、仕事をし続けるのは大変です。そんな時は、自分達の両親、託児や保育、自治体のサービスなどもどんどん活用して頼って欲しいです。また世代によっても意見がわかれるところかもしれませんが、金銭的に許される範囲で掃除や洗濯などの家事は機械や外部に頼むのも一つの方法です。


妻も仕事や病院に行く時、両親に子守りをお願いしますが、美容院や友達と会うには頼みづらいと言っています。そうではなく自分の人生・時間を大切にするための手段と捉え、空いた時間を子どもと向き合う時間や自分の心の余裕に充てればいいと思います。自分一人で抱え込もうとしないでもらいたいですね。


私たちの親世代は、いまの生活と異なりロボット掃除機や食器洗い機などはありませんでしたよね。わたしの父親が生まれた頃、戦中から戦後では日々、身の危険も感じただろうし、毎日の食料にも苦労していたと思います。反対に今の時代は掃除や食事も外部に頼めますし、手元のスマホで簡単に娯楽も手に入れられます。そんな安全で満たされた状況の現在でも、生きづらさを感じていたり、子育てに悩んでいる人がいるのは孤独も一つの要因ではないかと思うのです。

親世代は良くも悪くも、自分の親以外の親戚や近所の人達も一緒になって子ども達と向き合ってきたし、つながりが強かったように感じます。これをどう現代にも実践していくかはみんなで考えなければいけない課題ではないでしょうか。

だからこそ、掃除や家事はテクノロジーや外部のサービスを頼り、その空いた時間や余裕でこれからの在り方を考えていくべきだとも感じています。



森山:親自身の余裕が子ども達の心の安定にも繋がっているようにも感じますね。

山田さん:我が家も初めて託児を頼んだ時、長男がものすごく大泣きして帰ってきたのです。でも私はそれでいいと思っています。だってこの世界はすべてが快適な環境とは限らないですから。自分にとって「ちょっと居心地が悪いな」という場面は絶対あるし、いつもと違う刺激は子どもにとってもいいことだと思うのですよね。

今、次男がデイ保育(※)に通っていますが、私たちが教えていない「いただきます」を表現できるようになったり、家族以外とのコミュニケーションの中で多くの体験をし、学びに通じていると感じています。





森山:山田さんのこれからについてお聞かせください。

山田さん:塩尻市役所勤務の時にコロナ禍を迎え、役所の仕事はコロナ対策がメインとなり、塩尻市から全国に向けて新しい挑戦をしていくことに限界を感じるようになりました。


同時に「人生100年時代」と言われるようになり、セカンドキャリアとしてこれからの人生をどのようにして生きていくのか迷い、考えるようになりました。さんざん悩んだ結果、48歳になる2022年の春に24年間勤めていた塩尻市役所を退職し、株式会社NTTドコモでチャレンジを始めました。

配属先はオンライン動画学習サービスを提供しているgacco(ガッコ)です。gaccoは原則無料で「学びたい」という気持ちがあれば何歳からでも気軽に始められるサービスです。gaccoのパーパスである「テクノロジーによる学び体験で誰もが自信をもって自分の人生を選べる世界を」にとても共感しています。 私自身が学び続けることで生き方やキャリアを拡げてきたので、より多くの人に学びの可能性を伝えていきたいと思っています。    



いまは月曜日~木曜は東京で、金曜日に長野県の大学で教壇に立ち、土日は塩尻市の実家という二拠点生活を送っています。いずれ私も定年退職を迎え、セカンドキャリアをスタートさせる時にスタートラインに立つのでは遅すぎると思うのです。もちろん人生は何歳からでもチャレンジできますが、定年までに学んだことが資産になり、それ以降の人生を作り上げる基盤になるのではないでしょうか。

それと見えない資産はシェアした方が豊かになると感じています。土地やお金は分けてしまうと減ってしまいますが、経験や学びはシェアすると受けた人の資産になるし、自分にも定着していきます。

 

以前の私のように、未来に対して不安に感じている人に向けて「大丈夫、自分で作っていける」という前例になりたいなと思っています。今、この瞬間が人生の中で一番若いのですからどんどん挑戦し、いろんな人にシェアしていきたいですね。子ども達にも自分を信じ進んでいく姿を見せて「お父さんカッコいい」と思われるような背中であり続けたいです。



※デイ保育(一時保育、一時的保育)

一時的に家庭での保育が困難となる場合や、リフレッシュしたい時など、保護者の育児不安の解消を図り、負担を軽減するために児童をお預かり(保育)するサービス

(自治体や施設によって対象年齢などの詳細は変わります)



第3部終了 



■第1部「終わりを決めて、小さく始める】はコチラから



■第2部【自分よりも未来を生きる人達へ】はコチラから

山田さん第2部


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【ご紹介】

山田さんが現在お勤めされているgacco等の詳細についてはコチラから

「人生100年時代の学び、自分を超える未来へ」
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リベラルアーツ思考ビジネスプログラム

VUCAの時代においてチームマネジメントやビジョニングなどに課題や悩みを抱えているビジネスパーソンに対して、固定観念にとらわれずに難局を乗り切るためのビジネス創造力を養成するプログラム。

https://gacco.co.jp/service/liberalarts/



インタビュー/ライティング:森山 千絵