産前産後のお母さんやそのご家族へ、出産に関する体験談をお伺いするインタビュー企画。これからお母さんになる方やそのご家族には、不安・悩みも多いと思います。子育ては十人十色ですが、誰かの経験を知ることで選択肢が少しでも増え、悩みの緩和に繋がると思い、先輩たちの実体験をお届けします。

第7回目としてお話を伺ったのは長嶺 菜菜子(ながみね ななこ)さんです。

大手製薬会社にて営業職として活躍されている長嶺さん(現在は育児休業中)。6年前よりインスタグラムで発信を続けられ、現在ではフォロワー8万人以上の人気インスタグラマーです。

妊娠したことをきっかけに当時住んでいた関東圏から故郷沖縄への移住を旦那様と決意し、実家へ戻られます。予想もしていなかった緊急帝王切開や産後の旦那様とのすれ違いエピソードなど、育児真っ最中の体験談を伺いました。


<プロフィール>
長嶺 菜菜子<Nanako Nagamine>
沖縄県出身、在住。日本女子大学理学部卒業、東京理科大学大学院卒業。大手製薬メーカーに就職し、全国転勤の営業職に従事(現在は育児休業中)。九州、関西、関東と転勤生活を続ける中、旦那様と出会い、妊娠を機に沖縄へ帰郷。2016 年よりインスタグラムでの発信を本格化し、現在ではフォロワー数8万人以上の人気インスタグラマーに。沖縄での生活やママエピソードを発信中。同時にSNS運用支援なども手掛けている。
30代に長男、翌年に長女を出産。




第1部:産前

赤ちゃんが導いた結婚への階段

心の準備が整わないまま進んだ緊急帝王切開




森山:妊娠が分かるまでにはどのような経緯がありましたか

長嶺さん(以下敬称略):私は全国転勤のある営業職で働いています。関西で勤務していた時、料理人である彼と出会いました。とても明るく波長があったこともあり、お付き合いがスタートし、2~3年が過ぎた時にお互いに「そろそろ結婚しようか」という話になりました。

当時の私は30代中半の関東勤務、いつかは子どもが欲しいなと思っていたので、そろそろ年齢的にも結婚したいと思っていたタイミングでもありました。

しかし私の父はとても厳格な性格で、昔から結婚に関しては「結婚、同居、子ども」の順番を守るようにと厳しく言われていました。

このまま順番を守っていたら年齢が上がってしまい、妊娠にも影響がでるかもと思い、彼と話して妊娠を機に結婚をしようとなりました。年齢的にもどうなのかな、自然に授かるのかなと心配はしていたのですが、予想外にもすぐに妊娠しました。



森山:赤ちゃんが2人の結婚を導いてくれたのですね。妊娠した時、何を感じましたか。

長嶺:正直、びっくりしたというのがありました。望んではいたのですが、まさかこんなにも短期間で授かるとは思っていなかったので、驚きました。きっとベビちゃんがこのタイミングだと思って選んで降りてきてくれたんでしょうね、嬉しかったです。

彼にもすぐに報告して、喜びを共有しました。結婚への階段を1段のぼったような感じでしたね。


森山:妊娠されたということは、厳格なお父様への報告が待っていたと思いますが、実際はいかがでしたでしょうか。

長嶺:予想外にも父とは衝突することもなく受け入れてもらえたんです。
まず母に妊娠の報告をして、それを母から父に伝えてもらって、その後に私の口から妊娠の報告をしました。ある程度覚悟して報告したのに、父からの意見もなく、「あれ?」と拍子抜けした感じでした。

きっと、彼には以前から何度も会っていて人柄もよく知っていたから、結婚するならこの人かなと思ってくれていたのかもしれません。とにかく予想外にも受け入れてくれたので、ほっとしました。

それと急いで妊娠報告をしたのには結婚を認めてもらう他に、実家の沖縄に帰ろうと思っていたのもありました。当時は日本でもコロナが流行りはじめた時。私は関東に勤務していたのですが、彼もいつかは沖縄に住んでみたいという夢があったので、これを機に一緒に移住を決意しました。

実家に帰るにあたり、つわりなどの体調変化も出てくるだろうし「同じ屋根の下で生活するのに報告しないで帰るのも変だよな」と思い、実家に帰る前に報告したかったんです。

それから半月ほどして実家の沖縄へ帰りました。





森山:妊娠してからの行動の速さに驚きです。一緒に移住されたのもお二人の絆の深さを感じます。
妊娠中には体調変化などが現われましたか。

長嶺:安定期までは、吐きつわりに食べつわりがありました。それと匂いに対してとても敏感になっていた時期もありました。よく言われているご飯が炊ける匂いや、香水の香りなどの刺激の強い香りが特にダメでした。

あとは何が食べたいのかが分からないという症状も。10分前に「食べたいな」と思っていたものを彼に買ってきてもらって、いざ食べてみると「あれ?なんか違う」となり、食べられなくなったり、マクドナルドのポテトを異様に欲した時もありましたね。

安定期に入り体調が落ち着いてきたので、彼のご両親を呼んで沖縄の実家で結納式をおこない、その後に入籍しました。



森山:妊娠中は色々と変化がありますよね。出産までの経緯はいかがでしたか。

長嶺:安定期以降は体調も回復し、仕事を休むことなく続けられました。自然分娩を予定していたので、分娩がスムーズに進むように、運動とイメージトレーニングやマッサージをしたりと、分娩に向けての準備をしていました。

しかし、予定日を過ぎてもまったく産まれる気配がなく、予定日を2日過ぎ、妊婦健診に行きました。

午前中、いつものように病院で健診を受けると「羊水が減っていて赤ちゃんが弱ってきている。」とお医者さんから告げられました。「今日中にでも産みましょう。」と予想にもしていなかった事態になりました。

一度帰り、午後になったら病院に行き、そのまま分娩と入院をするという説明を受けましたが、心の準備が整っていません。ひとまず病院を出て、すぐに夫と母に連絡し、入院に必要な道具をそろえてもらったり、夫には駆け付けてもらったりと、イメージしていた出産とは違った現実が進んでいきました。

心の準備が整わないまま、病院に戻るとすぐに検査が行われ、お医者さんからは「赤ちゃんが弱ってきています、緊急帝王切開です。」と診断され、手術のための準備が始まりました。


バタバタと準備が進み、手術台へ移動し麻酔が打たれ、帝王切開が始まりました。部分麻酔なので、意識はありますがお腹を切られている感覚はなく、不思議な気分。最後にお腹をグッと強く押されて、息子が誕生しました。手術が始まってわずか15分間の出来事でした。



森山:心の準備が整わないまま、思いがけず出産が進んでいったのですね。初めて息子さんのお顔を見た時はいかがでしたか。

長嶺:やっと会えた喜び、愛おしさを感じたのと同時に、赤ちゃんはこんなにも白いのかと驚いたのを覚えています。手術が終わったのが夕方だったので、当日は顔を見ただけで抱っこはできませんでしたが、翌日から母子同室の部屋になりました。

病室で改めて見て抱っこした息子は本当に可愛かったです。小さくて、かわいくて、愛おしくて、生れてきてくれたことが本当に嬉しかったです。それと同時に、昨日まで自分のお腹の中にいたのに、出てきて目の前にいる現実に、何だか不思議だなとも思いました。




第1部終了 

■第2部「話し合いで知った夫の本音」はコチラ



■第3部「子育てはひとりで頑張り過ぎない」はコチラ


 
 

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【ご紹介】

フォロワー数8万人以上の人気インスタグラマーである長嶺さんが

SNS発信のお手伝いをされています。

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インタビュー/ライティング:森山 千絵