産前産後のお母さんやそのご家族へ、出産に関する体験談をお伺いするインタビュー企画。これからお母さんになる方やそのご家族には、不安・悩みも多いと思います。子育ては十人十色ですが、誰かの経験を知ることで選択肢が少しでも増え、悩みの緩和に繋がると思い、先輩たちの実体験をお届けします。

第19回目としてお話を伺ったのは北島 美香(きたじま みか)さんです。

専門学校を卒業後、幼少期からの夢であったテキスタイルデザイナーとして東京で活躍されていました。社会人経験も10年以上経ったある年の暮れ、地元の福岡にて開かれた同窓会で久しぶりに再会した北島さん(現：旦那さん)の夢を聞き「よし、一緒にやろう」と率先してパン屋さんになる計画を進めます。構想・準備期間1年弱、お二人の地元：福岡県にてパン屋「ニコパン」をオープンしました。

第1部では開業から助産院での出産について、第2部ではこれまでの育児で大切にしてきた想いや行動についてお届けしました。

第3部はこれからと題して伝えたいメッセージです。「子育ては頼る、委ねる勇気も必要」と話す北島さん。夫婦間だけでなく周囲の協力を上手に頼り、みんなで子育てをする良さについても話してくれました。

<プロフィール>
北島 美香<Mika Kitajima＞
福岡県出身、在住。大塚テキスタイルデザイン専門学校　テキスタイルコースを卒業後、ムーンバット株式会社にて洋傘・パラソルのデザイナーとして従事。2010年、同窓会で再会した旦那さんの夢を聞き「一緒に叶えよう」と決意。東京から福岡へ帰省し、2011年7月「ニコパン」を開業。 プライベートでは2児の母。

第3部：これから

頼る勇気と任せる力

2人で出来る範囲で続けていく

森山：ご夫婦でパン屋さんの運営やマルシェ出店など多くのお客さんと接し、親としても2人の子育てをされている北島さんですが、これから親御さんになる方や育児で悩まれている方に向けて、自身の経験を通して何かお言葉をいただけないでしょうか。

北島さん：子育てを自分達だけでしようと思わないで欲しいですね。

私の場合、有難いことに実家も義母の家も近く、自営ということもあったので始めから自分達だけで全てを解決しようとは思っていませんでした。自分達で出来ない事は、出来るだけ両家にもサポートしてもらおうと思っていましたね。

開業して半年後に妊娠した時も「仕事どうしよう」とか「私が休んでも大丈夫なのかな」と言った不安は全く感じなかったですしね。

子育ては誰にとっても初めての経験なので、分からない・不安になる事が多くて当然です。だからこそ自分だけや夫婦間でとどめておかないで、頼れる人や場所があるなら頼る勇気を出して欲しいです。

それに親がイライラしていたり、心に余裕がないと家族みんなに伝染しちゃいますし、子ども達にとっても良くない環境ですよね。それなら誰かに子守りをお願いして、自分をリフレッシュさせてあげる時間を取るのが大事だと思うのです。友達と食事をしたり、美容室や好きな場所に行ったりすれば、帰宅後の家族に対する態度もいつもより優しく出来たりしますからね。

森山：自分に余裕がない時は人に対して優しく接するのは難しいですよね。

北島さん：そのためにも「任せる力」も大切だと思います。自分の両親に子守りを頼むなら、事細かく言うのではなく、その人のやり方も受け入れないと良好な関係は続かないですよね。お店にいてもお祖母ちゃんが「孫にパンを買ってあげたいけど、お嫁さんから言われちゃうのよね」という話をよく耳にします。

確かにアレルギーやどうしても気にして欲しい事項は伝えないといけませんが、それ以外の部分は祖父母に任せた方が「子育て(孫育て)に一緒に参加できた」と気持ちよく思ってもらえると思います。

子ども達にとっても「親以外の安心できる場所がある」というのは多い方がいいですからね。選択肢が多ければ自分で選ぶこともできるし、応用力もあがると思います。

森山：お任せする勇気も大切ですね。

北島さんのこれからについてお聞かせください。

北島さん：自営のパン屋には定年がありません。何歳まで続けられるか分かりませんが、その時の2人にあった状態で出来るだけ長く続けていきたいなと思っています。

年を取って体力もなくなってくるでしょう。いまよりもパンの種類が減ったり、お休みの日が増えていくようになるかもしれません。それでもお客さんがニコパンのパンを食べて「美味しい」「楽しい」と笑ってくれるお店を、2人で一緒に続けていきたいと思っています。

また子ども達には自分の好きな事をみつけて、進んでいってほしいですね。私自身も周囲の影響もありましたが、小学校時代からデザイン系に進みたいと思っていました。なので子ども達の興味があることは、親として応援してあげたいなと思っています。

いま、小学6年生の長女はプログラミングに興味があるようです。自分の好きな物への探求心や吸収力ってすごいですよね。タブレットを使って独学でゲームを作るようになりました。興味がある海外のプログラマーにチャットで教えてもらったりしているようで、そこから今度は英語にも興味を持ち始めています。

何に興味があるのか、向いているのかを知るためにも親としてさまざまな経験をさせてあげたいです。それが出来るのは親しかいないと思いますし、子ども達が好きな道に進めるように背中を押せる人間でいなくちゃいけないなとも思っています。

第3部終了

■第1部「自然に近いお産ができた助産院」はコチラから

■第2部「日常から伝える人間力」はコチラから

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【ご紹介】

福岡県にて北島さんご夫婦が切盛りされているパン屋さん“ニコパン”。

以前は銀行だった場所を改装して作られたニコパンの情報はコチラからご確認いただけます

https://www.instagram.com/nikopan_yome/

インタビュー/ライティング：森山　千絵